講師春原のブログ

彫金の本を探して、ちょっと考えたこと|「知る」と「できる」の間にあるもの 

こんにちは、講師の春原です😊

先日、本屋さんの手芸・ものづくりのコーナーを見ていて、ふと気になったことがありました。

刺繍、編み物、ビーズ、レジン……。

手芸の本って、本当にたくさんありますよね。しかも、ひと昔前と比べると、表紙も写真もとても洗練されたものが増えたように感じます。

手芸ジャンルの棚のイメージ。夢のように✨おしゃれな表紙の本がずらっと並んでます。一度は見に行ってほしい😊

素敵な表紙に惹かれて手に取ってみると、工程写真や図解がたくさん載っていて、必要な材料や道具もしっかり紹介されている。「これなら家でやってみようかな」と思える本が、ずらりと並んでいます。ところが、

「彫金やWAXの本は?」と思って探してみると、意外と少ないんです。

池袋のジュンク堂で試しに探してみたときも、彫金やWAXの本が置かれていたのは、いわゆる「手芸・実用書」の棚というより、「伝統工芸」に近いジャンルでした。

売り場が地下1階から地上9階まである、とても大きな本屋さんなのに、絶対数が少ない。(しかも、あってもなかなか渋い装丁です…)

棚の前で、しばらく考えてしまいました。

もちろん、彫金そのものは昔から受け継がれてきた伝統的な技術のひとつです。

でも、私たちがファッションとしてのジュエリーを作るときに使う彫金は、少し立ち位置が違うのかもと思い至りました。

製法そのものを守り、受け継いでいくことに価値がある伝統工芸と、「こんなものを作りたい」というアイデアを実現するために、さまざまな道具や技法を選んでいくジュエリー制作。

伝統工芸と手芸の間くらいに、ジュエリーの彫金はあるのかもしれません。

本がたくさんあるものと、少ないものの違い

刺繍や編み物、ビーズアクセサリーなどは、材料や道具が比較的手に入りやすいですよね。

全国にある手芸店はもちろん、ネットショップや、ものによっては100円ショップでも材料が手軽に揃います。家の中で始めやすく、本に載っている作品を見ながら、同じ材料を使って再現してみることにも挑戦しやすい。

写真や図解との相性もいいのだと思います。

一方、彫金は少し事情が違うように感じます。

金属を切ったり、削ったり、曲げたり、叩いたり、火を使ってロウ付けしたり、磨いたり…。材料そのものの形や状態を、自分の手で変えながら作っていきます。

使う道具も増えますし、音も出る。作るものによってはやや大型の設備も必要になります。

そう考えると本屋さんに彫金の本が少ないのは、単にニッチだから、というだけではないのかもしれません。

本を一冊読んですぐに、誰でも同じ仕上がりになるものではない。その分、身につけた技術や仕上がりの違いが、その人のものづくりの強みにもなっていきます。

ブランドを作りたい人にとっても、これは大きなことなんじゃないかなと思います。

「どのくらい?」は、本では伝えにくい

もちろん、彫金の知識は本や動画でも勉強できます。

道具の名前や持ち方、金属の性質、ロウ付けでは何が起きているのか。今は検索すれば、かなり詳しいところまで知ることができます。

でも、「どのくらいの力で作業するの?」となると、急に説明が難しくなります。

ヤスリをどのくらい押し当てるのか。バフにどのくらい押し付けるのか。グレーバーのフットペダルを、どこまで踏み込むのか。

文章なら「適切な力で」と書けますが、その「適切」が一番知りたいところなんですよね😅

私自身、高橋先生にバフの当て方を教えてもらったとき、音を覚えて同じ状態を再現するといい、と教えてもらったことがあります。

岡野先生にハワイアン彫りを教えてもらったときにも、グレーバー(ハワイアン彫りなどで、タガネを装着したハンドピースに動力を与える機械)のフットペダルの踏み込み加減を判断する材料のひとつとして「音の大きさ」を教えてもらいました。

意識して作業をしていると、確かに音がかなりの情報になっていることにハッとしました。今まで無意識に感じていたことに、意識が追いついた感覚です。

例えば、作業の「音」からわかること

以前、生徒さんがヤスリを使っているときの作業音が、なんとなく気になったことがありました。

少し滑っているような音がしていたので声をかけてみると、やっぱりうまく削れていません。使っている道具の状態や選び方が、少し惜しかったんです。

きちんとヤスリが金属へ食い込んでいるときには、それなりの抵抗を感じる音がします。反対に、高く上滑りするような音が続いていると、ヤスリがうまく仕事をしていないことがあります。

そのときは道具を選び直してもらうことで、削りやすさも作業スピードも変わりました。

グレーバーでも似たことがあります。

これは私自身の経験ですが、大きな音を出しながらかなり踏み込んでいるのに、それほど太くない線がなかなか彫り進まないことがありました。

そんなとき、単純にもっと踏み込めばいいとは限りません。タガネの角度が合っていないのかもしれないし、打数が合っていないのかもしれない。

セッティングを少しずつ変えていくと、急にスムーズに進むことがあります。

金属は硬い素材なので、加工するとどうしても音が出ます。でも、その音は単なる作業音ではなく、今やっていることが合っているのかを判断する材料にもなっているんですよね。

在校生の皆さんも、先生に言われてから初めて気づいた「音」ってありませんか?😊

私はこういう作業のとき、ヘッドフォンやイヤフォンで完全に音を遮ってしまうのは、ちょっともったいないなと思っています。

そして動画でも作業音は聞けますが、録音環境や再生する音量によって聞こえ方は変わります。目の前で先生が作業する音を聞き、自分の作業音と比べてみる。

それが、プロの「加減」を知る近道になることもあります。

AIに聞きながら、彫金を始める時代

先日、スクールへ見学に来られた方から、ブランドを立ち上げたくて、まずは自分でジュエリーを作ってみようとした、という話を聞きました。

自宅に道具を揃え、動画を観たりAIに質問したりしながら挑戦してみたそうなのですが、なかなかうまくいかず、そもそも道具選びが合っているのかどうかも分からない状態になってしまったそうです。

そこで、一度きちんと教わってみようと思い、彫金体験に来てくださいました。

AIに聞きながら彫金に挑戦した方にお会いしたのは、私はそのときが初めてで、「もう、そういう時代なんだなあ」と、ちょっと驚きました。これからはもっともっと増えていくのかもしれません。

そして最近、もう一つ印象に残ったことがありました。

見学や体験に来られた方から偶然続けて、「進路では別の道を選んだけれど、今になってジュエリー制作に挑戦してみたくなった」という話を聞いたんです。

もちろん、ジュエリー制作を始める理由は、最初から「ビジネスにする!」というものだけではありません。今の生活があり、そのうえで昔は選ばなかったものを、今の自分だからこそ楽しんで挑戦してみたい。

大人になってから学ぶことって、そういう始め方もできるのがいいですよね~😊

学生の頃は、進路や仕事につながるものとして選択肢を考えることが多い。でも、大人になってからなら、純粋に「やってみたかったから」という理由で始めてもいいと思える。

そしてAIでできることが増えた今だからこそ、“自分の手で身につける技術”に価値を感じる人が増えているのかもしれません。

そんなことを考えていると、彫金には今でも人から直接教わる意味があるし、AIだけでは代わりにくい部分がちゃんと残っているんだなと思います。

ちなみにラヴァーグでは、授業で使うテキストも先生たちが試行錯誤しながら自作しています。授業中にどんどん書き込んで、ぜひ使い込んでくださいね♪

さらに最近は、コースで学んだ技術を次の作品に応用するための「ジュエリー制作レシピ」という取り組みも始めました。

単に完成までの手順を追うレシピではなく、ひとつのジュエリーを作りながら、構造やチェックポイントを解説したものです。

技術は、守るためだけではなく「作るため」にある

ジュエリー制作における彫金は、道具も進化しますし、CADで作った原型や鋳造したパーツを、人の手できれいに仕上げることに彫金技術が発揮されることもあります。レーザー溶接など新しい設備を使ったり、効率を考えて作り方を選んだりする場面もあります。

つまり、ジュエリー制作では、技術そのものがゴールというより、「こんなものを作りたい」を実現するための手段でもあるんですよね。

だから、一つの作り方だけを知っているよりも、これは地金から作る、これはWAXの方が向いている、この形ならCADを使った方がいい、と選択肢を持っている方が、作れるものは増えていきます。

そしてブランドを作る場合には、この「できることの幅」が商品そのものの強みにつながることもあります。

専門的な加工技術は、身につけるには時間がかかりますが、その分なぜこの形にできるのか、なぜこの仕上がりになるのか、なぜこの価格になるのかを、素材だけではなく、自分の技術や工程から裏付けられるようになる。

誰でもすぐに同じものを作れるわけではないことは、ときにブランドにとって一つの価値になります。

もちろん、難しい技法を使えば使うほど商品価値が上がる、という単純な話ではありません。

使う技術も含めて、「この商品をどう作ったら一番魅力的になるだろう?」と考えられることが、大事なんだと思います。

以前、ブシュロンの展示を見たときにも、完成したジュエリーだけではなく、クチュールの技術や可視光線の99%以上を吸収するVantablack®のような特殊な素材など、さまざまな分野の技術が取り入れられ、紹介されていました。

ブランドが実現したい世界観のために、さまざまな技術を持ち寄って形にしていく。その創意工夫そのものに、人は惹かれるのかもしれません。

だから生徒さんにも、彫金やWAX、CADの技術を身につけることだけをゴールにするのではなく、作りたいものを、作れるようになってほしいと思っています。

そのための土台として金属に触れ、素材の特性を知り、基礎的な技法から応用まで経験していく。

それが、ラヴァーグで彫金を学んでもらう意味の一つなのだと思います。

作りたいものに、技術が追いついていく

彫金をはじめとしたジュエリー制作は、知識や手順を覚えるだけではなく、実際に手を動かしながら身につけていく部分がたくさんあります。

最初は先生から、もう少し削った方がいい、角度を変えた方がいい、と言われないと分からなかったことが、何度も繰り返しているうちに、自分で「ここはこれでよさそう」「これはちょっと違うかも」と気づけるようになっていきます。

そこが技術を学ぶ面白さであり、「やりたい」と「できる」が少しずつ近づいていく感覚こそ、大人になってからものづくりを学ぶときの大きなモチベーションになるんじゃないかなと思っています。

仕事や家事など、やるべきことがたくさんある大人だからこそ、自分のために時間を使って、手を動かしながら一つのものを形にしていく。その時間も、最後に手元に残るジュエリーと同じくらい、得難いものなのかもしれません。

本屋さんで彫金の本が少ないことから、ずいぶん話が広がっちゃいましたが……😅

在校生の皆さんも、今取り組んでいる課題の中で、以前は先生に聞かないと分からなかったけれど、今は自分で判断できるようになったことが、もしかすると増えているのではないでしょうか。

もしあったら、ぜひ今度教室で聞かせてください😊

そして、これからどんな方法であれジュエリーを作ってみたいと思っている方には、まず一度、実際に金属に触れてみてほしいです。

もしかしたら、思っていたより難しいと感じるかもしれません。

でも、その「難しい」が少しずつ「できた」に変わり、作れるものが増えていく。

その喜びを、ジュエリー制作でぜひ味わってもらえたらと思います。

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アクセサリーのトレンドが街に届くまで|流行を「追う」より、眺めてみる

こんにちは、講師の春原です😊

先日、美容院へ行ったときのこと。

私の仕事を知っている美容師さんから、こんな質問をされました。

「アクセサリーにも流行ってあるんですか?」

あります。

……とは思うのですが、聞かれた瞬間は、

「あるような、ないような・・・ちょっと即答しにくいな🤔」

というのが正直なところでしたが、その質問をきっかけに改めて考えました。

「アクセサリー」と一言で言ってもかなり広い世界で、細かく分けようとすると本当にいろいろあります。

ハイジュエリーやブライダルジュエリー、ハレの日に着けるもの、普段使いのファッションジュエリー、天然石を楽しむ一点もの、クリエイターズジュエリー、コスチュームジュエリー、ハンドメイドアクセサリー・・・

素材も価格も、お客様が選ぶ理由もさまざまです。

※この記事では、主に普段のファッションに合わせて楽しむ「ファッションジュエリー」や「軽やかな日常使いのアクセサリー」のトレンドや広がり方についてお話ししていきます☝️

「最近よく見る」は、どこから来る?

色々と考えを巡らせながらそんな話をしていると、美容師さんがふいに、

「少し前って、小さいパールとかビーズをつないだ短めのネックレスをよく見かけませんでした?」と。

確かに・・・。

貴金属や宝石以外の素材を使ったアクセサリー系だと、特によく見かけたような気がします。

なんとなく懐かしいかんじ☺️


あらためて考えると、この辺りのアクセサリーは、

「最近これよく見るな」

「この着け方、違うお店でも提案していたな」

という変化に気づきやすいのかもしれません。

私がここ15年で印象に残っているのが、ビーズを革紐で挟んで編み込んだブレスレット、造花のヘアアクセ、イヤーフック、彫刻的な抽象的なモチーフ、スタッズ系、黒紐のチョーカー、などなど。

こうした変化に気づくのは、ジュエリー売り場だけではありません。

電車や街中、商業施設のアクセサリーショップ、アパレルショップのマネキン。

何気なく眺めていると、少しずつ共通点が見えてきます。

特に分かりやすいのが、アパレルショップです。

主役はもちろん服ですが、

「こんなアクセサリーを合わせるとトータルで素敵ですよ。今っぽいですよ。」

というスタイリングまで含めて提案しています。

もしかすると、私たちが街で「最近こういうアクセサリーよく見るな」と感じるものは、こうした提案を通して少しずつ広がっているのかもしれません。

トレンドは、大きな川みたいなもの。

さらに考えてみると、その流れはもっと上流にある気がします。

海外コレクション。

ラグジュアリーブランド。

バイヤーさんが「これは面白い」と感じたブランド。

そこからセレクトショップやアパレルへ流れ、少しずつ街に届いていく。

私の中では、一本の大きな川のようなイメージです。

もちろん、全部がそうとは限らず、今はSNSや街中で生まれたスタイルが、反対にブランドへ影響することもあり、どこが始まりなのか、はっきり分からないことも多いです。

それでも、

「これ、最初はどこで見たんだろう?」

「なぜ今、この形が気になるんだろう?」

と考えながら街を見ると、いつものお買い物が急に「リサーチ」に変わるから面白いです💎

「ゼロから作る」が正解だと思っていました

実は以前、私はアパレルブランドが主な取引先の、アクセサリーのOEM生産にも携わっていました。

※OEMとは、ブランドから依頼を受けて、商品を企画・製造する仕事です。

アパレルの小物企画担当の方から届くのは、必ずしも完成したデザイン画ではありませんでした。

「この画像を参考に。あとはこことここはこうして、この素材で。」

そんな参考画像や簡単なスケッチの指示から考え始めることも少なくありませんでした。

私が関わったアパレルブランドでは、アクセサリーだけを担当する方はあまり多くなく、服やバッグ、靴などと兼任している方もいらっしゃいました。

さらに、アクセサリーブランドのデザイナーさんからは、パーツを切り貼りしたコラージュを、企画イメージとしていただくこともありました。

当時の私は、笑顔で引き受けながら

「完成したデザイン画ではなく、参考資料から考えるんだな」

と、少し不思議に思っていました。

新卒で就職した会社だったので、今思えばちょっと生意気😅ですが、仕事を続けるうちに考え方が少し変わりました。

ブランド色に合わせることは前提で、自分が「これは面白い!」と思ったものと、お客様が「欲しい!」と思うものは、必ずしも同じではありません。

誰も見たことのないデザインを考えることと、それを受け入れてもらうことは別の話です。

ブランドには、「届けたい人」がいて、そのお客様たちに企画のベクトルを向けることが最優先、手段としてゼロからデザインすることが必ずしも必要ではないんだと、少しずつ腑に落ちていきました。

オリジナリティは、何もないとことから新しい形を生み出すことだけではなく、海外コレクションや街、SNSなどから得たヒントを、

「自分のブランドならどんな素材使うだろう」

「どんな意味をもたせたいだろう」

と編集し直すことでも表現できる。

もちろん、すでにある商品をそのまま真似することとは別の話です。

「チャーム」という言葉も、面白い

少し前、個人的に面白いなと思ったのが、「チャーム」という言葉です

もちろん昔からある言葉ですが、一昨年〜昨年(2024年〜2025年)、キャラクターやモチーフをバッグに付けるスタイルを、街やSNSでよく見かけました。

そうした流れと重なるように、ジュエリーでも「チャーム」という表現を以前よりよく目にするようになった、とジェリー系イベント企画会社のスタッフさんから聞きました。

少し前なら「ペンダントトップ」と紹介されていたものを、あえて「チャーム」と呼ぶ。

種類の違うチャームを、たくさん並べられた写真をSNSに掲載する。

言葉と見せ方が変わると、

「ひとつの完成したネックレス」ではなく、

「好きなものを組み合わせて楽しむアイテム」

という印象になります。

並んでいるだけで Kawaii 🫶✨

ブランド側からすると、チャームを少しずつ集めていただけたらもちろん嬉しいし、

お客様にとっても、その日の気分で組み合わせを変えられたり、コレクションしていく楽しさがあります。

「ものは言いよう」「見せ方次第」と言ってしまえばそれまでですが、本質的に見ると、楽しみ方まで提案することに価値があるんじゃないかなと感じています。

「早っ!」と思った出来事

そういえば最近、「トレンドってこうやって広がるのかな」と感じた出来事がありました。

ご存知の方も多いと思いますが、映画『プラダを着た悪魔2』で、アンディが身につけていたネックレスです。

NYのジュエリーブランド Jemma Wynneジェマ・ウィン) の 「Forme ダイヤモンド トグルネックレス

トグルがポイントになったデザインで、映画のスタイリングとともに話題になっていました。

使われていたものは、K18イエローゴールドとダイヤモンドを使ったファインジュエリー。
公式価格は9,870米ドルで、日本円にすると100万円を大きく超える価格帯です🫨

その後、まったく同じものではありませんが、トグルをポイントにしたアクセサリーを目にする機会が増えたように感じました。

「この雰囲気を、ブランドらしく取り入れたのかな?」と思う新作を見かけたこともあります。

もちろん、映画が直接のきっかけだったのかは分かりません。
もともと企画されていたものかもしれないし、別のトレンドから生まれたものかもしれません。

それでも、「今、世の中の人が何に心を動かされているのか」を感じ取り、自分のブランドらしい形に置き換える。
そのフットワークの軽さも、ブランドを育てていくうえでは、時に役立つ力なのだろうなと思いました。

流行を「追う」より、「眺めてみる」

消費側でも、提案側でも、「流行に乗るのって、なんだかなぁ」と思う方もいると思います。

できれば人と違うものを持ちたいし、流行り物には飛びつきたくない。

私も、昔はそうでした。

でも、見せ方や言葉、SNS、タイミングなど、デザイン以外にもちゃんと流行る理由があることの面白さに気づくと、少し見方が変わってきました。

ちなみに、「届けたい人に寄り添うこと」と、「売れるものだけを作ろう」と媚びることは、別の話です。

当然ですが、ジュエリーは流行だけで選ばれるものではなく、

憧れの人が着けていたから。

このモチーフや天然石に思い入れがあるから。

このブランドの世界観が好きだから。

──そんな理由で選ばれることも、本当にたくさんあります。

私は、ジュエリーをファッションとして着飾ったり、服とのコーディネートを楽しんだりすることは、魅力のほんの一部だと思っています。

私自身も、見た目のバランスだけではなく、

「今日は絵画のTシャツだから、アート系の作家さんが作ったピアスを合わせよう。」

そんな、自分にしかわからない組み合わせや意味づけを楽しむことがあります。

だから、流行は追いかけるものというより、少し距離を置いて眺めてみるくらいがちょうどいいのかもしれません。

そのうえで、自分のジュエリーを「誰に、どんなふうに届けたいのか。」そして「このトレンドを取り入れるのか、取り入れないのか。」

などと考え続けることが、ブランドづくりではとても大切なんじゃないかなと思っています。

おまけ こんな順番でリサーチしては?

例えば、「メンズラインを作ろう」と思ったら

「最近ゴールドが高いから、シルバーでボリュームを出して、10万円くらいの商品にしようかな」
と、素材や価格から考え始めるのも一つのアプローチですが、そのジュエリーを着けている人の姿を先に想像してみる。

・普段はジャケットを着る人なのか。Tシャツや古着が好きなのか。
・仕事のときにも着けたいのか、休日だけ楽しみたいのか。
・どんなブランドが好きで、どんな雑誌やSNSを見ているのか。

そんなことを考えながら街を歩いていると、「この人なら、こういうものを選びそう」と見えてくることも。

もちろんそれが正解とは限らず、年収が高くてもジュエリーに興味がない人はいますし、好きなもののために時間をかけてお金を貯める人もいます。


だから、単純に

「この人はいくら出せるだろう?」

よりも、

「この人は、何にならお金を使いたいと思うだろう?」

と考える方が想像力が働いて面白いなと思っています。
そうやって人物像を想像してから素材や価格を考えると、商品にも少し筋が通ってくる気がします🤔

そして私だけではないと思うのですが、素敵なアクセサリーを着けている人を見かけると、ついつい目で追ってしまうんですよね👀✨

「どこのブランドだろう?」

「素材は?」

「その重ね着けかわいい!」

なんて考えていたら、

「いけない見すぎた。これでは不審者だ。」 

と、ハッと我に返ることもしばしば😇

でも、そんな人間観察が、ものづくりをする人にとって立派なインプットになるのかなと思います。

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TOKYO JEWELRY FESに行ってきました。気合いも歩数も過去最高レベルでした。

こんにちは、3階工房 講師の春原です!

先日、東京ビッグサイトで開催された「TOKYO JEWELRY FES」を視察してきました😊

今回の目的は、ブランド立ち上げを目指している生徒さんや、すでに活動している卒業生のみなさんへ「今、販売イベントはどんな雰囲気なのか」を持ち帰ること。そして、ラヴァーグとして今後ご紹介できるイベントかどうかを自分の目で確かめることです🌱

会場へ向かう途中は、同時開催されていたものづくり系の展示会へ向かうスーツ姿の人たちの大きな流れに合流。

「みんな仕事できそうだな……」

そんなことを思いながら、一人で少しドキドキしつつビッグサイトへ向かいました。

実際に会場へ入り、わかっていたことですが結構~な広さ。

全部見るには2〜3時間ではとても足りません。

今回はクリエイターFESエリアをメインに、+α余裕があれば回ろう、の気持ちだったので正解でした💦

しかもイベントあるあるですが、まだ見ていてもブースからブースへと移動してくる人の波に押し流されそうになったり、流されたりする場面も何度か。それだけ関心や熱量高めのイベントだと感じました。

出展している人たちは、何を目的に参加しているのか

今回はクリエイターFESエリアを中心に、在校生、卒業生、その他出展者さんにもお話を伺いました。

「新しいお客様との出会いを増やしたい。」

「ブランドの方向性を試したい。」

「今までオーダー中心だったけど、不特定多数に販売していきたい。」

そんな声があり、商品を販売するだけではなく、市場調査やトライ&エラーの場として活用されているのだと感じました。

出展料は1日だと8万円、2日間、3日間、と日数が増えるごとに少し割安になっていく設定のようです。(聞き取りベース)

3日間開催のイベントとしては比較的挑戦しやすく、ブランドを始めたばかりの方でも検討しやすい価格帯という印象です。

フリーコースで通学中のAiさんのブランド、Elecasiqueのブース🌻

「立ち止まってもらえるブース」には共通点があった

会場を歩いていて感じたのは、「立ち止まってもらえるブース」と「素通りされてしまうブース」の違いがあったこと。

人気のブースには共通点がありました。

・遠くからでも目に入る高さのあるディスプレイ
・価格や特徴がすぐ分かるPOP
・ブランドの世界観が伝わるビジュアル
・そして何より、迎えてくれる人の雰囲気がやわらかいこと

作品が素敵なのはもちろんですが、「話しかけても大丈夫そうと感じてもらえる空気づくりも、はじめましてのお客様と多く出会える場ではとても大切なんだと改めて感じました。

一方で、ディスプレイがきれいでも無表情で立っているだけだと、お客様は入りづらそうに見えます💦

ブランドは作る技術や商品そのものだけでは成立しないことを改めて実感しました。

商品の傾向を見ることはもちろんですが、「どう見せ、どう伝えているのか」を知る意味でも、とても勉強になりました。

Aiさんのブースにも目をひくポスターが🦋

来場者は「買う気持ち」で来ている人が多い

来場者は20〜50代くらいまで幅広く、実際に購入を楽しんでいる方もたくさん。

平日の午後にもかかわらず、会場には一定の賑わいがありました。

20〜50代くらいまで幅広い来場者がおり、カップルやご夫婦、お友達同士で来場されている方も多く見られます。

ショッパーを持って歩いている方もおり、「今日は何か買って帰ろう」という空気が会場全体にありました。

「買っちゃった~!」と喜んでいる20代の女の子がいて、思わずニッコリ😊

私は売る側にも立つことがあるので、買って嬉しい、売れて嬉しいの場面はいつ遭遇しても心が浄化されます🌱

ジュエリーFESエリア(規模が大きな企業ブースメイン)だけでなくクリエイターFESエリアにも「ジュエリーを買う人たち」が自然と流れてくるので、個人ブランドにも十分チャンスがあるイベントだと感じました!

また、今年もパール人気は健在。

さらに、小粒の天然石を横一列に並べた華奢なリングをいろいろなブランドで見かけました。

このブログを書いている今日は私もたまたま、昔手に入れたそんなリングを着けていました💍

ローズカットのラブラドライトかわいい💕

石も買い付けてきました

そうそう、今回は視察だけでなく生徒さんの課題で使えそうな天然石も少し買い付けてきました。

なるべく手頃なお値段で、それでいてクラックが少なくカットもきれいなものを選びながら・・・。(そして時間も気にしながら・・・焦💦)

課題では生徒さんが石留めに挑戦するので、たま~に不可抗力で割れてしまうことがあります😿

もちろん割れないのが一番ですが、「もし割れてしまっても心まで砕けないくらい」の価格帯も意識して。

そんなことも考えながら石を選ぶ時間は、宝探しのようでちょっと楽しい時間でもありました💎

ラブラドライト好きな人~(^O^)/

途中では知り合いのジュエリーデザイナーさんにも偶然遭遇。

「あそこのブランド行きたいんだよね!」と、そのまま勢いよく連れ回していただき、自分ひとりでは話がきけそうになかったブースまで見ることができました。

展示会は、こういう偶然の出会いも面白さのひとつですね!


ブランド活動を始めたばかりの方にも、これから挑戦したい方にも、一度は見ておいて損はないイベントだと感じました📝

大阪でも開催されることが決まったそうで、ラヴァーグでも今後の販売イベントの選択肢のひとつとして、引き続き注目していきたいと思います。

これからブランドを育てていくみなさんの参考になれば嬉しいです!


おまけ|ファッション雑誌をこんな視点で読んでみました

展示会に行った後日、図書館で女性ファッション誌のジュエリー特集もチェックしてきました。

雑誌をチェックしてみて、服のようにトレンドを感じるというよりも、ジュエリーの価値を、どんな言葉で伝えているかが、ジュエリーを販売したい皆さんにとって参考になるのでは?という感想をもちました。

「どんな人に」「どんなシーンで」おすすめしているのか?

ブランドを立ち上げる人にとって、この”伝え方”は作品づくりと同じくらい大切だと思っています。

今月は『VERY』『CLASSY.』『SPUR』『Precious』を読んできましたが、特に印象に残ったのはこんなポイントでした。

今月のリサーチメモ

夏はジュエリーが主役になる季節

  • ノースリーブにはバングル
  • シンプルな黒ワンピースには耳元を盛って華やかに
  • 白Tシャツにはネックレスをプラスすると◎
  • 「服を増やす」のではなく、「ジュエリーで印象を変える」という提案

「誰に届けたいか」が明確

  • 「社会人5年目からのジュエリー投資」
  • 「キャリアを築く女性へ」
  • 「子育て中のママへ」

 など、同じジュエリーでも”どんな人に向けた提案なのか”をページごとに丁寧に表現している特集が目立ちました。

“何を売るか”より”どうなれるか”を伝えている

  • 「自分らしさを表現する」
  • 「毎日に自信をくれる」
  • 「ジュエリーは履歴書であり、未来への羅針盤」

など、素材や価格よりも、身につけた先の気持ちやライフスタイルを言葉にしている雑誌が多かったです。

ダイヤモンドは”特別な日”から”毎日身につけるもの”へ

 スーツやジャケットに合わせたり、普段着にさらっと合わせたり。「ハレの日のジュエリー」というイメージから、少しずつ日常へと広がっていることも感じました。ラボグロウンダイヤの普及も一役買っていそうです。


展示会では、「実際にどんなブランドがお客様に選ばれているのか」が見えてきました。

一方で、雑誌を見ると「お客様がどんな言葉に心を動かされているのか」が見えてきます。

この2つを見比べると、「売れるデザイン」を探すというよりも、「ジュエリーの魅力をどう伝えればいいのか」というヒントがたくさん見つかります。

私自身もまだ勉強中ですが、こうしたリサーチはブランドづくりや販売を考えるうえで、とても面白い時間です😊

これからこのブログでは、展示会だけでなく、雑誌やブランドの発信から見つけた「伝え方」や「売り方」のヒントも、ときどきご紹介していこうと思います!!

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