自分のスキル以上のオーダーを回避していく方法

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こんにちわ。スタッフ中西です。

今日は少し、私の想い出に残るオーダージュエリーのお話しを綴っていこうかと思います。

【自分の持っているスキル以上のオーダーが来てしまった。。。の話】

私がある程度ジュエリー制作の基礎が身についてきたころ

とある依頼が来ました。

 

それはデザイナーをしている友人からの話で、私とも共通の友人がプロポーズ用のエンゲージリングを作ってほしいとのことでした。

大切な友達の一生ものを作ることが出来る。

私にとって、彫金を始めたころの思い描いていた夢が一つ叶う依頼でした。

 

デザイナーの友達と協力して、デザインは友人が行い、制作は私が担当する形式でその依頼を喜んで受けることにしました。

デザイナーからはシンプルなリングだよーと話を聞いていたので、ワクワクしながら出来上がったデザイン画と指示書が届き

 

目を通した瞬間、固まりました。

 

素材はお祖母様からの形見のプラチナチェーン

2本の角材が指の腹にあたる部分から二本に分かれるデザインで、厚みと幅の微妙な変化をつけていく。

トップには0.25ct(約4.1mm)のダイヤモンドをテンション留めにする。

 

簡単に当時のデザイン画のイメージ図を再現してみたのが下のイラストです。

 

まじか…

当時、プラチナを磨いたことはあるものの

溶かしたことのない、というか、むしろプラチナのロウ付けすらしたことのない私は、一気に不安MAXでガクブルでした。

テンション留め?なにそれ美味しいの?って感じですよ。

 

 

シルバーで作って型取りかCADでデーター作って造型して、プラチナでキャスト…と一瞬考えましたが

お祖母様から受け継いだプラチナを使用することが条件。

既製品の地金はキャスト屋さんに持ち込みは出来ません。

 

プラチナを溶解して角材作りからしていかないと意味がないのです。

更に、キャストのプラチナでは真ん中のダイヤを挟むほどのテンションがかかる強度にはならないでしょう。

 

 

つまりこの指輪は、彫金でしか実現しないのです。

 

 

ガクブルながらもやるしかないと腹を決めてからは、

井上先生に相談したり、プラチナの特性を猛勉強し直したり

YouTubeでプラチナの溶解の動画を片っ端から見たり

 

 

出来る作業日はスクールのお休みの日だった為、誰かに聞くことは出来ず、

一人で何度も角材を作っては伸ばしている最中に割れてを繰り返し、

頭を悩ませながら色々試して少しづつ改善し

テンション留めに震えながらも

遂に何とか指示書通りの指輪が無事完成し、納品に間に合うことが出来ました。

その制作期間は、寝ても覚めても仕事中も、その指輪の事で頭いっぱいでした。(夢にも出ました)

 

 

本当に途中きちんと完成できるか不安過ぎて半べそかきましたよ。。。笑

完成したときの喜びや達成感は人生トップ3に入るレベルでしたね。。。(遠い目)

 

 

今思えば、あの時沢山失敗したおかげでプラチナがしっかり溶ける温度を見極める力がついたり

角材が途中で割れてしまう原因を追究して解決していく試行錯誤や

デザイン指示書から工程を組み立てて、イメージトレーニングをする力がどんなに大切かを身に染みて実感出来て

私自身、一段も二段も成長させてくれるオーダー品の一つだったと思います。

 

 

身に着けるには大きすぎるお祖母様のプラチナチェーンは

きっと受け継いだ相手が困ったときに財産へと変えることが出来たり、

形を変えるのに十分な量になることも考えられて購入されたのではないかな?と思えるくらい立派な物でした。

 

 

そんなお祖母様の想いを形にして繋ぐことが出来たこと、

友人も無事プロポーズに成功し、大切な人と繋がることが出来たこと。

本当に色々な想いを繋げる役割を持った指輪となってくれたことに

心からこの指輪の制作に関われて良かったとしみじみ思いました。

良い仕事したと今でも思います。

 

 

だけど、この指輪は納期に充分な余裕を与えてくれたおかげで無事完成しましたが

これが納期カツカツだったらと考えると、ぞっとします。

 

 

自分の持ち合わせている技術を超えたオーダーが来てしまった際は、充分な納期を取っておかないと怖いものです。

特に、一回もやったことが無い技術が入ってくる場合はね。

出来れば、あんな不安と背中合わせな状況にならないでいただきたいものです。

 

 

さて、こんな苦労をした私。

自分の持っている技術以上のオーダーを回避するには

何が来ても応用に繋がる8つの技術を一回でも経験しておくことです。

 

 

断ってしまっては依頼した側も自分も悲しくなりますよね。誰もハッピーになれない。

 

 

上の経験をした私が心からやっといた方がいいよーと思うのが

もうすぐ開講間近の新コース。

 

 

あ、そうそう。コース名が少し変更になりました。

 

 

(旧)彫金アドバンスコース → (新)スキルアッププログラム

なんか、名前がかっこよくなりました。

 

 

このコースを習得しとけば、怖いもの無しといっても過言ではありません。

先ほど説明した指輪も、このコース学び終わった後だったら、あそこまで心労することも無かったと思います。

むしろ「待ってました!」とどや顔の余裕すら見せていたでしょう。

 

 

練習課題が用意されてる皆さんが羨ましい限りです。

 

 

詳しい詳細はこちらのページをご覧ください→スキルアッププログラム

 

 

ちなみに、先ほど話したエンゲージのオーダーには続きがあり

めでたく結婚が決まった友人からブライダルの依頼も入りました。

更には、その友人の妹夫妻からの結婚指輪のオーダーにも繋がりました。

 

 

そう、全部お祖母様からのプラチナチェーンを材料にね。

 

 

デザインも一か所ねじりが入ってきたり、異なる金種を組み合わせたコンビネーションになったりと

どんどん制作時のハードルが上がる一方でした。

 

 

なんだか、本当に求められてる技術が絶妙に上がっていくので

え、これなんかの特訓ですかコーチ…って気分でした。

 

 

鬼コーチ(デザイナー)からのスパルタな依頼の日々が続き、私は少し痩せました。(一瞬で戻りましたが)

今振り返れば、このスキルアップ プログラムの課題、全部乗せの応用問題みたいなもんだったなと思います。

 

 

お陰様で、今はプラチナの溶解は任せろだし、どんな依頼が来てもある程度簡単に感じるようになれましたけどね。(ありがとうコーチ)

 

 

いつか、独立して自分のブランドで生計を立てていきたいと考えている方は

先生に教えてもらえる環境にいるうちに学んでおいた方がいいよ…

こういう依頼、きっと日常茶飯事になるよ…

私みたいに苦労するよ…

と、そっとささやいておきます。

 

 

ジュエリーだからこそ出来ることでもありますから、

これらが出来てやっと一人前のクラフトパーソンと言えると思います。

 

 

今なら、高橋先生厳選の一生もののヤスリセットが無料でもらえますしね。

 

 

テキストもほぼ完成したので、今日の私の話が怖い…と思った方

詳しくお話聞きたい方はウェルカムですー。

 

 

以上、こう見えても実は苦労してた中西でした。

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